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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第3章 二人の主君





────その夜、真田幸村は夢を見た。

自身の不安にまみれた心の中のように、霧のたちこめる世界。

何処までいっても真っ黒な、出口のない閉ざされた空間にポツリと一人佇んでいる夢である。


『・・・ここは、どこなのであろう・・・』


ただ自分だけがいるこの空間は、まるで今の状況そのものだと思った。

いつも信玄についていけばよかったのに、その光を失った途端、こうして心は闇に落ちてしまうのだ。


『・・・幸村よ。』


そこに、ぽっかりと光がさして、待ち望んでいた人物が現れた。


『お館様!』

『幸村。なんだ貴様の情けない決意は』


厳しい言葉も、いつも糧としていたもの。

でも今の幸村には辛くのし掛かった。


『お館様・・・某、お館様がいなければ、どうしていいか分かりませぬ。魔王を討ち果すことも大事、しかし、今お館様の身に万一のことあらばっ・・・』

『馬鹿者!』


夢の中でも殴られ、弧を描いて飛ばされていく幸村。


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