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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第3章 二人の主君




目の前の敵に憤りの念はあれど、でもそれでも、己の主君を危険な目にはもう遇わせたくない。

それは、私が幸村様に対して感じていることと、何ら変わりないのだ。


「・・・某は、どうしたらいいのか分からぬっ・・」

「・・・そうかい。じゃあそこで沈んでな。小十郎、紫乃、行くぞ」


政宗殿は、呆れたように襖を開ける。

片倉殿はその後に続いたが、私は立ち上がると、そちらへは行かずに幸村様のお側へと行った。


「・・・政宗殿。私は幸村様のお側にいる」

「あぁ?」


幸村様を一人にはできない。

私とっての主君は、幸村様だ。

政宗殿よりも、幸村様の御身の方が大切。

それは揺るぎない。

何をずっと錯乱していたのだろう。


「アンタまでどうした。俺と尾張に行くんじゃなかったのか?」


私は政宗殿に背を向けた。

そして、弱っておられる幸村様の背中に手を添えて、その悲しみを分け合うように、包み込んだ。


「・・・紫乃・・・?」


少々驚いた様子を見せた幸村様だが、私は構わずに続けた。

もう迷わない。


「私がついております。幸村様。」


私の主君は、幸村様だ。


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