第3章 二人の主君
「で、どうすんだ真田幸村。俺はもう我慢ならねぇ、これから魔王の首をとりにいくぜ」
政宗殿・・・。
「政宗様! ここは体勢を立て直し、織田包囲網とやらの完成を待ってからっ・・・」
「こっちの手の内はもう知れてる。小十郎、俺は俺のやり方でいくぜ。今までも、これからもな」
立ち上がった政宗殿とは対照的に、幸村様はお館様のお側を離れようとしない。
その背中は小さく項垂れて、悲しみで押し潰されそうになっていた。
「・・・幸村様・・・」
「・・・某は、ここを離れることはできない」
「旦那? どうしたってのさ?」
いつにない弱音を吐く幸村様に、政宗殿も片倉殿も、そして佐助様までもが怪訝な目を向けた。
「・・・怖いのだ。かような手を使い、お館様に致命的な傷を負わせた輩・・・。もし某がここを離れ、お館様に万一のことがあればっ・・・某はっ・・・某はっ・・・」
「旦那! お館様が目覚めない今、ここの大将は旦那しかいないんだ。それがお館様の枕元で俯いてたって始まらないだろ!」
佐助様はそう怒鳴っているけれど、私には幸村様のお気持ちが、痛いほど分かった。
お館様を守ることができなかったのは、自分のせいだ、と。
二度とこのようなことが起きないように、お側を離れてはならない、と。
そう心に強く思っておられるのだ。