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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第3章 二人の主君




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お館様と幸村様は、総出で岸へと引っ張りあげられ、すぐに城へと運ばれた。

しばらくして幸村様は目を覚まされたが、大量の血を失ったお館様は目を覚まさないまま、この広間に横たわっている。

幸村様はずっと、俯いてお館様のお側にいた。


「・・・明智の野郎、堤を壊して甲斐の虎の注意を逸らし隙を突くなんざ、武士の風上にも置けねぇ」


片倉殿も悔しそうに、お館様を見やる。

明智は政宗殿たちと交戦したあと、さっさと逃げていったのだという。

甲斐の大将・お館様の危機とあって、広間には政宗殿と片倉殿、幸村様と佐助様が集まっていた。

お館様がお目覚めにならない今、ここにいる者で今後のことを決めねばならない。

・・・でも私は、これからのことよりも、後悔ばかりを感じていた。


─『政宗殿!ここにいては危険かもしれぬ!佐助様に守りをつけてもらおう!こちらへ来い!』─


政宗殿には、ああ言った。

それなのに、堤で頑張っておられたお館様と幸村様には、何ができた?

何のお役に立った?

私は忍失格だ。

主君が誰であるのかを錯覚し、こうして危険な目に合わせた。

一度思い直す機会もあったはずなのに、私はそれでも改めることができなかったのだ。


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