• テキストサイズ

【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第3章 二人の主君




──そのときだった。


「幸村様!?」


突然、水の中が赤く染まり、人の形をした影が浮いて来るのが見えた。

───幸村様だ!

私は大急ぎで岸からできるだけ川のそばへと近づき、その影に向かって手を差し出した。


「紫乃! 俺たちも手ぇ貸すぜ!」


岸から伊達の四人組も降りてきて、川に飲まれそうな私の手をガッチリと掴んでくれる。

もう少し、もう少しだ。

四人組は先頭の私が流されないよう、それでいてなるべく水中の幸村様の影に手が届くように、四人で手と手を繋げてくれた。


「・・っ・・・掴んだ!! 幸村様だ!!」


赤の羽織に手が届き、それを思いっきり引き上げる。

折れている手でも関係ない。

この身がどんなに痛もうと、幸村様のためなら痛くなどない。


───しかし、幸村様は意識を失っていた。

加えて、この水中の赤は、幸村様の羽織の色だけではなかった。

・・・お館様の、流れ出す大量の血の色だったのだ。


「お・・・お館・・・様っ・・・・?」


水は真っ赤に染まっている。

これが全部、お館様の血・・・?

止まらない。

止まらないっ・・・


「・・・お、お館様っ・・・お館様ぁぁああ!!!」


/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp