第3章 二人の主君
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「お館様!謙信殿が討たれたとは真にございますか!?」
甲斐に帰るなり佐助様に知らされた一報に、信じられずにお館様のもとへ飛び込んでいた。
謙信殿とは先程まで平穏無事に語り合っていたのだ。
かすが殿にだって警告した。
なのに、なんでっ・・・
「紫乃か。魔王が妻・濃姫の仕業よ。西洋武具にて謙信の身を貫きおった。聞けば武田のふりをし、あやつを欺いたのだと・・・。安心せい、命はとりとめておるようじゃ」
まずは一命をとりとめたことに安堵するも、相変わらず姑息な織田の手先に悔しさが沸き上がってくる。
非常事態に、政宗殿と片倉殿もこの場に集まっていた。
「この一帯の大将を片っ端から潰そうって腹か。徳川に上杉、そうなりゃ次は武田のオッサンかこの俺だ」
卑怯な手を使い各国の武将を討たんとするならば、政宗殿の言うとおり次に狙われるのはここだ。
・・・政宗殿が危ない。
手負いの今、もし不意をつかれるようなことがあったら・・・。
私がお守りせねば。
───あれ?
「なんだ? どうした紫乃」
今、私は何を考えた?