第2章 伊達の流儀
「お前だって私を救っただろう。私も同じだ。
私は伊達軍の一員なのだから、郷に入らば郷に従う。どんなときも仲間を見捨てない。その流儀に従っただけだ」
「・・・アンタやっぱり上等だな」
そう言って政宗殿は私の頭をガシガシと撫でてきたので、私はそれを振り払った。
「馴れ合いはせぬと言っただろう!」
「おいおい、んな固いこといつまでも言ってんじゃねーよ」
すると、どうやっても言い合いになってしまう私たちがいるこの広間に、片倉殿がやってきた。
襖を少し開けたまま、中へ入ろうとしない。
「片倉殿?」
「どうした小十郎」
私たちが呼び掛けたことでやっと広間へと入ってきた片倉殿は、コホン、と咳払いをして正座をした。
「いえ・・・失礼致します。何か込み入った話をしているのかと・・・」
「いや、していないぞ。政宗殿がやけに私を馬鹿にすることばかり言うのだ。叱ってやってくれ片倉殿」
「あ、ああ・・・」
「おいおい小十郎、この俺を餓鬼扱いすんなよ?」
片倉殿は何か用事があってここへ来たのだろうか。
私はそう思って立ち上がり、片倉殿と入れ替わるように襖を開けた。
「それでは私はにぎり飯を握ってくる。」
「アンタ自分の手が折れてること、もう忘れちまったのか?」
「ナメるな。茶碗が二つあれば握らずともできる。」
それだけ言い残し、私は広間を出た。
まったく、飯を握ってこいと言ったのは政宗殿の方なのに、変なやつだ。