第2章 伊達の流儀
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紫乃と入れ違い広間に残された小十郎は、じっと政宗の顔を見た。
政宗はまた刀を振るうために庭へと出ていく。
「で? なんだ小十郎。」
「はい。甲斐の虎が、魔王を討つべく改めて策を練る、と。我々と軍議を交わしたいと話しておりました」
「そうかい。たしかに、こうも魔王の手先どもに遊びをふっかけて来られたんじゃたまんねぇからな」
「・・・・それに、紫乃のことですが。」
「・・・? 紫乃がなんだ」
政宗は刀を振るっていた手を止める。
小十郎は続けた。
「・・・先日の、松永の屋敷から連れ帰ったあと、紫乃はまるで上の空で生気を失っておりました。正直、ここまで気力を持ち直したことに驚いております」
「アイツはもともと神経の太い女なんだろ」
「いえ、分かっております。政宗様のかけられたお言葉で、紫乃は救われたのだということを。・・・この小十郎、感激致しました」
「あぁ?」
肯定も否定もしない政宗は、バツが悪そうに目を逸らすだけ。