第2章 伊達の流儀
嘘だ。
片倉殿、ひどいではないか・・・。
独眼竜にも知られたくなどなかったのに。
誰にも知られず、忘れてしまいたいのに。
「小十郎に言われなくてもその顔見りゃ分かんだよ。テメェはもっとporker faceを練習しな」
一気に沈む私とは対照的に、独眼竜はケロッとした様子でそう言い放った。
「・・・忘れてくれ。私ももう、忘れたいのだ」
「アァ? 忘れてどーすんだ」
・・・ひどい。
何を考えてるんだ独眼竜は。
今私が言ってほしくない言葉ばかり。
必死で記憶の奥に押し込もうとしているのに、なぜそれを掘り返すようなことばかり言うのだ。
「うるさいっ・・・お前に何が分かるっ・・・」
礼を言いに来たはずなのに、気づけばこの男を睨みつけていた。
「ハッ、俺にそんな目を向ける元気があるんじゃねーか。」
「うるさいっ!!」
「その悔しさを忘れねぇで戦いやがれ。」
「う、うるさいっ・・・お前にっ・・・何がっ・・・」