第2章 伊達の流儀
面倒そうな顔をして顔を逸らされてしまった。
・・・独眼竜らしいな。
なぜだろう、とても安心する。
「・・・それでも、私は嬉しかった」
独眼竜は気づいていないだろう。
彼の真っ直ぐ前だけを見ているその姿勢が、ときに後ろを着いていく私たちの救いになっていることを。
何を目指し、何を求めるのか分からなくなったとき。
この男が自分の先にいると、何も気にせず、何も心配などせずに、その後ろを着いていけばいいのだと。
そんな気持ちになるのだ。
「おい、一応聞いておくぜ。アンタ大丈夫か?」
ふいに、独眼竜がそう言った。
なんだかあまりにも似合わない言葉に驚いたが、私は素直に折れた手首を彼に見せる。
「平気だ。じきに治る。腹に穴が空いていたくせに私の心配などするな」
しかしその手首を見ても、独眼竜は表情を変えようとしない。
「・・・手首の話じゃねえ」
「・・・え?」
手首の話じゃない?
じゃあ一体何の心配を・・・
・・・嘘だ、まさか・・・
「・・・き、聞いたのか?片倉殿に。昨日のこと」