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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第2章 伊達の流儀




「紫乃? どうしたのだ?」


嫌だ。

知られたくない。

幸村様にだけは、絶対に知られたくない。


「・・・っ・・・自分で、歩けます・・・」


そう言って幸村様の腕を拒絶して、自分の足で立ち上がる。

何を動かしても鈍い痛みが付きまとったが、私はそれを押し込めて大地を踏みしめた。


「・・・紫乃、俺の馬に乗れ」

「・・・片倉殿・・・」


私は大人しく片倉殿の馬に乗った。


「・・・紫乃?」


幸村様は寂しそうに理由を尋ねてきたけれど、私はそれに答えることはできなかった。

ごめんなさい、幸村様。


今は、何も考えたくないのです。


無理矢理にでも笑顔を見せるべきなのでしょうが、その度に、この体が痛む度に、私はどうしようもなく絶望に突き落とされるのです。


知られたくない。

共に育ち、共に励んだ幸村様には。

私はこんなにも簡単に、尊厳を踏みにじられるのだと。


──片倉殿は、何も言わなかった。

私の体を労るように、優しく包みこむだけで。


でも、それさえも悔しくて、私は涙が出そうになった。


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