第2章 伊達の流儀
──そのとき、どこからともなく馬の蹄の音が聞こえてきて、それはこちらへと近づいてきた。
「紫乃! 片倉殿! 無事でござったか!」
幸村様っ・・・!?
馬に乗った幸村様が、この燃えさかる屋敷へと現れた。
「片倉殿! 伊達の兵たちから知らせを聞き、捕らわれた紫乃を助けに参った! しかしすでに貴殿がこうして紫乃を取り戻し、松永久秀なる男を討ち果たしておろうとは! お館様に代わり、そして紫乃の友として、礼を尽くしても尽くしきれぬ!
本当に、本当にっ・・・!」
片倉殿に深々と一礼する幸村様。
私はすぐに衣服を整え、足を滴る血を隠した。
片倉殿は、さらに幸村様から見えぬよう、私の体を背に隠してくれる。
「真田。頭を上げろ。・・・紫乃は無事だ。長く縛られてまだ体の自由が利かねえが、何もされてねぇ」
「そうでござったか! 紫乃、立てぬのであれば、某に掴まるのだ! 失礼致す!」
「だ、だめっ・・・!」
響く痛みに立てなくなっていた私の体を持ち上げようとする幸村様に、私は精一杯の力で抵抗した。
今幸村様に触れられたら、気づかれてしまう。
私がこの場で、どんな目にあっていたのか。