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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第2章 伊達の流儀





「・・・片倉殿。恩に着る。」


隣に立っている片倉殿に改めて礼を言うと、彼は何も言わずに六爪を拾い集め始めた。

何もかも、無事だった。

六爪も、また独眼竜の手元に戻る。



・・・・いや、ちがうっ・・・・

何も失ってなどいないなんて、嘘だ。

私には、たしかに、この屈辱が残っている。



「・・・紫乃。大丈夫か?」


悔しい。悔しい。悔しい。

どうしてこんなに、痛いのだ。

奴にこじ開けられたこの体が、奴が死んだにもかかわらず痛みを宿している。


「・・・紫乃、斬られたのか? 血が・・・。
・・・────!?」

「見るなっ・・・片倉殿っ・・・・頼む、私を見ないでくれっ・・・」


血が、滴り落ちていく。

切り傷などではない。

奴の触れた場所が、どうしようもなく痛くて、痛くて、悔しくて。

足を滴り落ちていく血がどこから流れ出しているのか、それに気づいた片倉殿は、私から目を背けた。


「・・・紫乃っ・・・」


立て直したはずの感情は、この体に残る痛みにいとも簡単に崩された。

私が女を辱しめられたということが、この体に残っているのだから。


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