第2章 伊達の流儀
──────
「・・・ほう、慣れてきたのか? 声が出なくなっているぞ」
「・・・っ・・・」
こんなところに指を差し込まれることがあるのだと、知るよしもなかった。
私はあまりの屈辱に、声だけは出さぬよう口を固く閉じるしかなかった。
・・・それに、痛い。
今まで、戦場で斬りつけられたことだってあるのに、この痛みはそれとは全く違う。
痛む理由が分からない不安が押し寄せて、それは刀傷よりも耐え難い恐怖があった。
「・・・っ・・・」
「・・・もう六爪が来ても良い頃合いだが、見捨てられてしまったのかな?」
「・・・っ・・・」
「・・・涙が滲んでいるぞ。少し痛むのか? これはこれは、本当に汚れなき花であったとはな。そのまま目を閉じて耐えていなさい。しばらくすれば痛みは消えていく。
・・・独眼竜に切り捨てられた哀しみを、この一時で癒すがよい。」
この男、本当に虫酸が走る。
口にすること全てが琴線に触れ、悔しさを噛み締めているせいで口の中はもう血の味しかしない。