第2章 伊達の流儀
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「やっ・・ふ、ふざけるなっ・・・」
「君は本当に良い声で鳴く」
どうして私は、こんなことになっているんだ。
松永の手はするりと胸元に入っていくと、膨らみを包むように触れてくる。
わざわざ籠手を外し、直に指を這わせてくる松永に、私は体の奥から拒絶の念が湧きだした。
「野に咲く花を手折るときほど、この世の無情を感じることはない。君は汚れも知らずに野に咲いていられたものを、己の偽善を振りかざしたことで、こうして簡単に奪われてしまうのだ。・・・それを、肝に銘じておくがいい」
「やめろっ・・・! あっ・・・」
こんなことをされるなどとは、まったく予想していなかった。
どんな拷問を受けようと耐え抜いてみせる、そう思っていたのに。
こんな、女だということを利用され、忍としての尊厳を壊されるようなことは、本当に屈辱でしかない。
松永のこれは、私を痛く苦しめようとしている手つきではない。
真綿で包むような、私を"女"だと理解させようとしている、そんな触れ方。
・・・虫酸が走るっ・・・
いっそ刀で斬りつけられたほうが、どんなに私の尊厳を保っていられただろう。
「・・・どうした?大丈夫だ。安心するがいい、苦痛など与えんよ」
「う・・・うるさいっ・・・黙れっ・・・」
私の頬に触れようとした奴の指に噛みつこうとすると、松永は愉しそうに顔を歪め、私の装束の腰紐を緩め始めた。
「な、なにをっ・・・」
「・・・君は独眼竜には、このようにされたことはなかったのかな?」
奴の指は、腰紐の隙間から下半身へ入り込むと、他人に触れられるなどと思ってもみなかった所に、進んでいく。
「なっ・・・ふざけるなっ! い、嫌だっ・・・やめろっ・・・」
「大丈夫だ。目を閉じていなさい」
嫌だっ・・・・
誰か、助けてっ・・・・