• テキストサイズ

【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第2章 伊達の流儀




四人はやがて見えなくなった。

どうか無事に、無事に武田に帰ってくれ。


「・・・おや、話が違うではないか。君と引き換えに竜の爪が手に入る、そういう算段ではなかったかな?」


・・・松永。

じりじりと私に迫ってくる。

柱にくくりつけられている私には逃げ場はない。

問題はここをどう切り抜けるかだ。

少しでも逃げる隙を作らなくては。


「ふん、誰が貴様の思うとおりになどするか。」

「・・・クク、いや、望んだとおりだとも。なぜ私があの者たちを易々と帰してやったと思うのだ?」

「・・・え?」


何だ?

どういうことだ?


「本来であれば私は人質を生きたまま帰すことなどしない。君の前であの者たちを惨殺することに興じても良かったのだ。
それに、君の代わりに竜の爪が手に入るなどとも思っていない」

「・・・じゃ、じゃあなぜ、私を捕らえ、四人を逃がしたのだっ・・・」

「・・・君は知らぬようだ。女性である君が、こうして敵に捕らえられると、どうなるのか」


─なんだ?なんなんだ?

何が言いたい?


「君は己に尊厳を持っているだろう。どんなときも、どんな目に合おうとも、その尊厳を頼りに乗り越えてきたはずだ。
・・・しかし、世の中には尊厳を保っていられぬ仕打ちもあるのだと、君は知っておくべきだ。
・・・親切にも私がそれを、君に教えてやろうと思うてな」

「・・・? い、言っている意味が分からぬっ・・・」

「偽善で動いた君に、後悔させてやろう。あの者たちを助けたことを。そのために生かしたのだ。
代わりに己の受ける仕打ちがどんなものか、君は知っておいたほうが良い」


────え?


松永は、ゆっくりと、私の胸元に手を差し込んだ。



/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp