第2章 伊達の流儀
(ねらいは独眼竜の六爪か・・・)
「甲斐にて伊達の軍勢が療養中と風の噂で伝え聞いてな。武田の物見を数人捕らえるよう命じたはずなのだが・・・。
一宿の恩がある武田のためなら伊達も動くやもしれぬと思うたが、卿らのような末端の伊達の兵とあれば、独眼竜も切り捨てる判断をするであろう」
兵を人質にとり、一国の主たる武将の刀を奪おうだなんて、なんて姑息な・・・
許せないっ・・・
「俺たちゃ筆頭のためにとっくに命捧げてんだ!ここで死のうが筆頭の六爪は絶対に渡さねぇぜ!」
良直がそう叫んだ。
他の三人も同じく、死ぬ覚悟はできている、そういう顔付きだ。
・・・私がするべきことは、分かってる。
今ここで、四人を人質とられた状態で松永を倒すのは、私にも無理だ。
そうとあれば、城に引き返し、お館様に、そして独眼竜と片倉殿に、このことを報告するべきだ。
そして決断してもらうしかない。
助けるのか、見捨てるのか。
・・・・でも、おそらく独眼竜とあれど、この四人を見捨てる決断をするだろう。
今独眼竜は手負いだし、片倉殿が許すはずもない。
・・・そしたら、この四人はどうなる?
六爪が手に入らぬと分かれば殺されてしまうに決まっている。
(そんなのは・・・絶対に嫌だ。)
良直も、文七郎も、佐間助も、孫兵衛も。
いつも私を元気づけてくれた大切な仲間なのだ。
忍として間違った判断なのは分かっている。
でも、このまま何もせずに四人が殺されてしまうくらいなら・・・
「松永久秀!!」
私は松永の前に飛び出していた。