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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第2章 伊達の流儀




──なぜ今、あの四人が拐われたのか。

その理由として、いくつか思い当たらないわけではない。

なぜなら今は、甲斐にて伊達軍が療養しているのだ。

武田と伊達を攻めんとするならば、他国にとっては好機に他ならない。

・・・しかし、織田信長はこんな姑息な真似をするだろうか。

魔王であれば、もっと残虐非道で、容赦なく里へ攻めいるはず。

このやり方はどうにも解せない。

しかしそれ以外で、織田の脅威が迫る今、わざわざ伊達を攻める勢力などあるだろうか。

・・・一体誰なんだ?


─しばらくすると、屋敷の中から声が聴こえてきた。


「ちくしょー!」

「この縄を解きやがれ! 今すぐ勝負してやらぁ!!」

「お前なんか刀がなくてもボコボコだぁ!」

「やんのかこらぁ!! あぁ!?」


・・・このガラの悪い声、間違いない!

四人組だ。

屋敷の門構えの柱に隠れて中の様子をうかがうと、そこには4本の柱にそれぞれくくりつけられた四人組の姿があった。

ボコボコに殴られているようだが、まだまだ意識も気力もはっきりとしている。

とりあえず四人が無事であることに安堵したが、捕らえられていることには変わりない。


そして四人の前に立っている男、あの者が首謀者か。


「・・・あぁ、卿らが伊達の者たちだと知って落胆せざるを得ないな。これでは竜の爪は手に入らない」


余裕の笑みと、不気味な出で立ち。

あの男、知っている。

この古い庵野にずっと籠り、収集した品を愛でて暮らしているという噂の変わり者。

織田に生かされ、手の内にありながら、こうして己の欲望に生きている武将・松永久秀だ。


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