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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第2章 伊達の流儀




そのころ、片倉小十郎は伊達政宗のいる広間へ戻っていた。

四人組と紫乃の身に起こっていることなどつゆも知らずに。


「政宗様。傷の具合はいかがでございますか」

「こんなもん傷のうちに入らねぇよ」


小十郎は自身に責任を感じつつも、変わらず強気な政宗に安堵していた。

しかし、奥州へ帰ったら腹を切らねば、相変わらずそんなことを考えている。


「・・・政宗様。この度は紫乃の計らいで甲斐へと立ち寄りました。里の皆の協力で、傷ついた者たちも癒えつつあります」

「見りゃわかる」

「せめて政宗様のお身体が回復されるまで、出陣はお待ちいただきたい」


他国の床に伏せることは政宗には屈辱だろう、小十郎はそう思ったのだ。

しかし当の本人は、そのことについてはそれほど気にかけてはいなかった。


「・・・アイツはどこいった?」

「紫乃なら、兵たちににぎり飯を振る舞いに行くと言っておりました。おそらく今頃厨房かと」

「・・・ハッ、まともに飯が握れるとは思えねえけどな、あの女」

「ま、政宗様。お言葉ですが、我々は少々紫乃を邪険に扱いすぎておりました。このような状況になり甲斐を頼っている以上は、紫乃にも礼を尽くさねばなりません」


小十郎がそう諭しても、政宗はまったく聞く耳を持とうとはしない。


「あいつは今は伊達軍だ。じゃじゃ馬のご機嫌とってどうすんだよ小十郎。えらく気に入ってるみてぇじゃねえか」

「・・・いえ、そういうわけではございません」

「借りは戦場で返しゃいいだろ。じゃじゃ馬ごと奥州に連れ帰りゃ、真田幸村はjealousy燃やして追ってくる。・・・魔王を倒した後のお楽しみだ」


織田を討伐した後も、紫乃を奥州に留まらせるつもりなのか、と。

小十郎は少々驚いた。

幸村と戦いたいがために、そのためだけに、紫乃を奥州へ連れていく。


─本当に、それだけだろうか。

小十郎はそんなことを考えながら、政宗を見ていた。


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