第2章 伊達の流儀
独眼竜が目を覚ましたことをお館様や片倉殿はじめ伊達軍の皆に報告すると、みな次々と広間へ様子を見に走っていった。
独眼竜はひどい怪我なのは間違いないが、血も止まり、嫌味を言うくらいの元気は残っている。
・・・安心した。
こんなに皆に頼りにされているのだから、早く怪我を直してもらわなくては。
「孫兵衛! 佐間助! 良直に文七郎! おーい!」
城の門で警備していたのは、伊達軍の四人組だった。
私は甲斐の米がいたく気に入っていた孫兵衛のために、彼らに差し入れを持ってきた。
武田の城の警備を伊達の兵がしているなんておかしいけれど、この四人はきっと何もせずにはいられなかったのだろう。
「「紫乃!」」
「手伝ってもらっていてすまないな。独眼竜が目を覚ました。広間へ行くか?」
「筆頭が!?」
四人は嬉しそうに食いついた。
今にも独眼竜のいる広間になだれ込んで行きそうだったが、メガネの佐間助は、四人を代表して首を横に振った。
「知らせに来てくれてありがとな、紫乃。でも俺たちはここを預かってる。筆頭には後で顔を見せに行くぜ」
行きたくてうずうずしているくせに、本当に義理がたい奴らだ。