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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第1章  奥州に忍ぶ




伊達の経路は、お館様の読みに狂いはなかった。

甲斐を抜けて尾張へ攻め込む。

織田は朝倉への挙兵を匂わせるも、まだ動き出さない。

やはり徳川の動きにさえ気を払っていれば、伊達は尾張へたどりつける。


「筆頭! 出発は明日っすか?」

「当たり前ぇだ。テメェら、久しぶりのpartyだぜ!」

「うぉー!!」


これなら上手くいきそうだ。

すると片倉殿が冷静に独眼竜に語りかけた。


「政宗様。おそらく甲斐の虎の織田包囲網も、我々に合わせ動き出すでしょう」


ギクリ


「どういうことだ?小十郎」

「この伊達の軍勢を先頭に、武田や上杉も尾張を目指すはずにございます。懸念があるとすれば、未だ織田の側についている徳川。織田に命じられ我々の足止めにかかるやもしれませぬ」


な、なんと片倉殿は鋭いのだ・・・。

さすがはこの伊達軍の軍師。

周辺国の動きを適切にとらえ、それでいてお館様と近い考えを持っている。


「No problem.そしたら徳川の首を土産にして尾張へ行くまでだ」

「いえ、おそらく甲斐で武田が食い止めるはずにございます」

「ハッ、あのおっさんも過保護なこったな」


概ね、予想どおりだ。

こちらの考えと違わずに動ける。

すると独眼竜は、黙っている私を一目だけ見ると、挑発するように言った。


「それか、後ろに着いてきやがる武田と遊んでいくのもアリだぜ。あの真田幸村との決着もお預けをくらっちまってるしな」


なっ・・・


「ダメだ!!!」


考えるよりも先に、そう口に出していた。

その瞬間、周りの兵たちは私をなだめたり非難したりとさまざまだが、一番怖い顔をしたのは片倉殿だった。


「政宗様。今武田とやり合うのは得策ではございません。・・・だが、おい、くノ一。政宗様をお諌めするのは俺だけで十分だ。口を出さねぇ約束だろうが!」

「す、すまないっ・・・し、し、しかしっ・・・」


幸村様と決着をつけるのは、今ではダメだ。

織田がどうこうという話だけではない。

私がこちら側に付いている今、武田と戦うのは絶対に避けたい。


「分かってるぜ小十郎。ちょっとしたjokeだろ?」


独眼竜は片倉殿に叱られる私を見て、満足そうにそう言った。

・・・この男、絶対に私の反応を見て楽しんでるだけだ。

本当に腹の立つ奴。


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