第1章 奥州に忍ぶ
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日が落ちると軍議のため皆が集められた。
広間へ集まった軍の中から少し外れたところに、私も腰かける。
もちろん片倉殿が私の姿を見つけると、黙ってはいなかった。
「おい、武田のくノ一。お前ぇなんで・・・」
「ほっとけ小十郎。」
独眼竜が片倉殿の言葉を遮った。
「しかし政宗様、この軍議の内容が他国に漏れれば、それは伊達の命運に関わります」
「あいつは他国の奴じゃねぇ。今は伊達軍の一員だ。You see?」
「政宗様っ」
「分かった分かった、そう神経質になんなよ小十郎。こいつが俺達の行先に軍を敷くってんなら、それを蹴散らしゃいいだけだろ?」
そうだ、説き伏せろ独眼竜。
持ち前の前向きな理論で片倉殿をかわすのだ。
「・・・おい、くノ一!」
油断していると、片倉殿は次に私を睨み付けてきた。
羽織を貸してくれたときとはまるで違う、怖い目付きだ。
「口出しはするんじゃねーぞ」
「わ、わかっている」
私に忠告したあと、すぐに尾張に攻めいらんとする議が始まった。