第1章 奥州に忍ぶ
「おい。用があるならストーキングしてねーでさっさと出てきな」
ふいに、私に背中を向けているはずの独眼竜がそう言った。
彼は面倒そうに、一度刀を降り下ろし、素早く鞘に仕舞う。
盗み見ていたというよりも、見いっていただけの私は慌てて独眼竜のもとへ駆け寄った。
「気づいていたのか」
「当たり前ぇーだ。テメェも忍なら、ちったぁ忍べ」
ムッ
本当に一言多いやつだな。
でもこの男の皮肉にはだんだんと慣れつつあった。
だってきっと、特に意味はないのだ。
「頼みがある。私も軍議に参加させてもらいたい」
「・・・あぁ?」
手短に、そして正直に告げた。
今なら片倉殿もいないし、独眼竜に許可さえもらえればあとはしれっと軍議の場に座っていればいい。
「spyでもしようってのか?」
しかしそう簡単に許可がおりるわけではなかった。