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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第1章  奥州に忍ぶ




私はこっそりと、庭で刀を振るっている独眼竜のもとを訪ねた。

いつもこの時間は刀を触っている。

刀とともに蒼の袴が揺れ、その動きは乱暴だが美しくさえ感じた。


(独眼竜・・・)


ついその太刀筋に見惚れていたが、すぐにハッとして顔を上げた。

いつも私が甲斐で見ていたのは、燃えるような紅い背中だったのだ。

それは真っ直ぐで何の曇りもない、炎のようにたぎる心。

幸村様はそんなお人だ。

独眼竜は、彼が秘めているものを、その太刀に宿している。

それは決して面(おもて)に表れない、深い蒼の中のひとすじの雷。

まだ独眼竜のことなど、私は何も知らないけれど。

彼はたぶん、そんな人なのだと思う。

私はしばらく、その背中を見つめたまま、立ちすくんでいた。


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