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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第4章 恋の残り香




──そして唇はやっと離されていく。

それとともに、熱い吐息も遠ざかっていく。

名残惜しくてゆっくりと目を開けると、先程まで私を食っていた唇が、今度はニヤリと笑っていた。


そして、その唇が言ったのだ。



「・・・ハッ、アンタやっぱり、俺に惚れてんじゃねーか」



・・・・。

・・・・。

・・・は?


・・・はぁ───!?



「な、な、な、なんだお前!! いきなりこんな破廉恥なことをしてきて、惚れたも何もあるか !馬鹿!!」

「テメェこそ何言ってやがる! kissひとつで大人しくなりやがったくせに、今更惚れてねぇとか言うんじゃねえだろうなぁ!?」

「ほっ・・・ほ、ほ、惚れてないっ!!」

「嘘つくんじゃねぇ!」

「うるさいっ! 嘘なものか!」


こいつ、何が何でも私に参ったと言わせる気なのか。

そんな手に乗るか!

私は甲斐へ帰るのだぞ。

ここで流されてなるものか。

──こうなってはもう、私は首を縦に振ることはない。

甲斐に帰るという決意を、意地でも押し通すつもりだ。


「・・・わかった」


すると政宗殿はポツリとそう言った。

しかし、その目は何も分かったようには見えない。


「アンタが甲斐に帰ろうと、俺は手放す気はさらさらねぇ。・・・この俺を忘れられるもんなら忘れてみな」


─ドクン─


「・・・望むところだっ!」


この竜の目を見ていると、吸い込まれてしまいそうになる。

私の決意などすぐに揺らいでしまう。


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