第4章 恋の残り香
「んっ・・・ふぁ・・・」
なんなんだ、これは。
政宗殿の唇が、まるで私の唇を食っているかのような乱暴な接吻に、ドンドンと彼の肩を叩いて抵抗した。
・・・それは抵抗なのだが、頭の中にはクルクルと回るほどの甘い感覚が押し寄せてくる。
「んっ・・・んんっ・・・」
グッ、と私の後頭部に添えられた手。
その手に力を入れられると、その分、唇の重なりは深みを増した。
・・・頭がボーッとする。
体に感じる彼の温もりも、唇の熱さも、湿った感覚も、全てが私の神経を刺激する。
──やがて抵抗する力もなくなっていった。
立っていることすら辛くなった私は、私の体をガッシリと支えている腕に身を任せていた。
無意識だったかもしれないが、私の唇も、彼の唇に絡んでいったのだ。
・・・心地良い。
ああ、なんなのだろう、これは。
気づけば私は目を閉じて、この体中が熱くなるほどの接吻に酔いしれていた。
「・・・ん・・・はぁ・・・政宗、殿っ・・・・」
自分の声とは思えないものがこの唇から漏れ出している。
政宗殿も、時折熱い吐息を漏らした。
・・・熱い。
熱くて、熱くて、接吻だけで、ゆだってしまいそうだ。