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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第4章 恋の残り香




「なっ・・・!」


皆の前で堂々と私を掴んだのは、政宗殿だった。


「紫乃。ちょっと顔貸しな。テメェにはじっくり話すことがある」


四人組や、片倉殿。

佐助様や集まっていた兵たち。

皆の視線は私へと向けられた。

それが恥ずかしくて恥ずかしくて、私はどんどん真っ赤になっていく。

恥ずかしさから逃れようと、ジタバタと彼の手を振りほどこうと抵抗してみせた。


「な、何も話すことなどないっ!」

「・・・俺がこのままアンタを甲斐へ返すと思うのか?」

「っ・・・」


相変わらず強引な振る舞いだが、悔しくもまた私は赤面してしまう。


「・・・か、返してもらわねば困る! 私は武田の忍だ!」

「今更何言ってやがんだ。今ならあの時、本能寺でアンタが言いかけたことを聞いてやるぜ」


あのとき・・・


─『政宗殿っ・・・私は、私は、政宗殿のことがっ・・・』─


あのときの言葉の、続きは・・



「・・・っ・・・私は、政宗殿のことがっ・・・」

「・・・俺のことが何だ?」

「政宗殿をっ・・・」


私は、甲斐に帰らねば。


「政宗殿のことを、一人の武人として尊敬していた! それだけだ! 他に伝えたいことなど、何もない!」



この想いに、蓋をする。



「・・・・あ"ぁ"?」



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