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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第1章  奥州に忍ぶ




かといいつつも、本当にやることがない。

伊達軍に置いてくれると言ったものの、独眼竜は私に構うわけでも、任務を与えるわけでもなくこうして野放しにしている。

だから私は仕方なく、自分にできることからやってみた。

城下の様子を確認したり、他国の兵が迫ってないか、近くまで配置されている配下の忍に情報をもらったり。


──そんなことをしていると、伊達軍の兵たちとはすぐに打ち解けられた。

特に四人組とはよく話す。


「そんじゃあ、紫乃はあの武田の若大将のことよく知ってんだな!」

「もちろん!幼ないころからお側にいたのだ」


前方にもっこりと伸びた髪型が特徴的な伊達軍の先陣兵・良直。

彼はいつも独眼竜の自慢ばかりしてくる。


「筆頭がライバルってお認めになってんだ。すげーことだぜ?俺もこの目で見てたが、あの槍は相当なもんだ!」

「だろう?幸村様はお強いのだ」

「ま、筆頭にはかなわねーけどな!」

「・・・良直は本当に、独眼竜の強さを信じているんだな。」

「当たり前ぇだぜ!俺だけじゃねえ。伊達軍は全員、信じてついていくのは筆頭だけだ!」


独眼竜は、兵たちの信頼が厚い。

それは伊達軍に混じってからずっと感じていることだ。

兵たち皆が独眼竜を信じ、己の全てを捧げている。

これほどまでに軍を信頼で束ねる力は、私は見たことがない。

・・・幸村様にも。


(なんてことを考えているんだ、私は。)


幸村様が独眼竜に劣っているところがあるなどと、考えてはいけないのに。


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