第4章 恋の残り香
「筆頭! おめでとうございます!!」
「幸村様! おめでとうございます!」
天守から二人が戻ってきた。
四人組のせいで心がざわついてしまったままだが、それでも戻ってくる二人を見ると、涙が込み上げてきた。
特に、ずっとお側で見てきた幸村様。
幸村様がこうして皆を率いるほどに強く、男らしくなられていたこと。
そのことに感動が止まらなかった。
──二人のもとへ、気づけば私も駆け寄っていた。
「紫乃!無事でござったか!」
「おい紫乃! この俺に爆弾ぶっぱなすとは、やってくれるじゃねーか!」
──二人が同時に駆け寄る私を迎えたが、私は真っ先に、幸村様の胸に飛び込んだ。
この身を思いっきり任せたが、幸村様の胸板はびくともしなかった。
強くて熱い。
もうこんなに立派になったなんて・・・
「紫乃!? ど、ど、どうしたのだ!?」
ギュ、と抱きしめる腕に力を入れると、幸村様は戸惑いつつも、私を抱き締め返してくれた。
「おめでとうございます、幸村様。魔王を討ち果たすお姿、ずっと見ておりました」
「紫乃っ・・・。あ、いや、某だけの力ではござらぬ! 結集した各国の兵たちの力、そして、共に魔王と戦った政宗殿のおかげでござる!」