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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第4章 恋の残り香




「・・・孫兵衛。今何て言った?」

「だから、姫様になるんだろ? 筆頭の女になるってことはそういうことなんじゃねーのか?」

「だよなぁ! すげーや紫乃さん! これから何て呼んだらいいんだ? 紫乃姫さんか? それとも紫乃姐さん?」


文七郎もケラケラと冗談を言って盛り上がっている。


・・・姫様・・・?



──嫌だ。

そんなものになりたくなどない。

考えたこともない。


だいたい、幸村様と離れて奥州へ行くなどとは一言も言っていないはずだ。

武田の忍として、幸村様のお側にいる。

それが私の役目。

いくら政宗殿のことを想っていようと、その役目を終える気などない。

甲斐を、そして幸村様と離れることなど、考えられない・・・。


「紫乃?どうかしたのか?」

「・・・」


この想いを言葉にするということは、私の未来が変わってしまうということなのだろうか。

今までのようにはいられないのだろうか。


「ほら紫乃! 筆頭と武田の兄さん、戻ってきたぜ! 出迎えに行くぞ!」

「・・・あ、ああ」



──何も変えたくない。

ならばこの想い、告げぬまま、蓋をすべきであろうか。



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