第4章 恋の残り香
「紫乃!」
「どこ行ってたんだ紫乃さん!」
「もう筆頭と武田の兄さんで魔王倒しちまったぜ!」
嬉しそうに話す彼らに、さらに涙が出て来てしまう。
泣き出した紫乃に焦る四人だが、彼女が嬉しくて泣いているのだと気づくと、次々にもらい泣きをし始めた。
「・・・お、お前らまで泣くなっ・・・」
「だって紫乃が泣いてっからだろーっ・・・!」
────私は感じていた。
人生の中で、今が一番嬉しくて、誇らしい。
長年お側にいた幸村様と、出会い尊敬する政宗殿。
二人が日ノ本を救ったのだ。
「おい紫乃!もうバレてっからな!お前本当に筆頭と良い仲なんだろ!」
「・・・─っ!? な、何言ってるんだ佐間助っ・・・」
佐間助の言葉にみるみるうちに顔に熱が昇っていく。
良い仲、というのはなんとも恥ずかしい言い方だ。
そ、それに、私も政宗殿も、まともに気持ちを伝えてはいないのだ。
まだ何も始まってはいない。
───でも、私は・・・私は間違いなく、政宗殿のことが・・・
「でもよぉ、実感沸かねーよなぁ! 紫乃が筆頭の姫様になるってことだろぉ!? 似合わねーよー!」
──────姫???
・・・え?
私は耳を疑った。
孫兵衛の言った言葉は、あまりにも自分の考えにはなかったものだったのだ。