第4章 恋の残り香
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ド────ン
低く鈍い、そしてこの安土山全体を轟かすような衝撃が走った。
天守に撃ち込まれた一発の大筒。
それは魔王と政宗、どちらをも飲み込む勢いで爆発した。
「政宗殿!」
近くにいた幸村も、その衝撃に耐えるように足を踏ん張った。
飛び散る城の破片に目を細め、爆発の中心にいる政宗を見る。
「政宗殿! 無事にござるか!?」
「・・・・。」
魔王と政宗、どちらも崩れ落ちる天守に倒れていた。
幸村が政宗に駆け寄ると、倒れている政宗はニヤリと笑っていた。
「クククッ・・・」
「・・・政宗殿?」
「・・・やってくれるじゃねーか、紫乃」
紫乃は近くにはいないのに、今政宗の口からその名前が出たことに幸村は首を傾げた。
しかし、政宗には分かっていた。
この弾は誰が撃ったものか。
政宗ともども魔王を狙う、この度胸。
ドでかい大弾をこの月にも届きそうな城の頂に撃ち込む手荒さ。
こんなことをしても伊達政宗は死なない、そう信じきったような信念。
政宗を助けようという、強い想い。
それが、誰のものか。
「・・・あいつのおかげで、目が覚めたぜ」
幸村の手を借りながら立ち上がると、前方にいる魔王も体を起こしていた。
あと一撃。
どちらもあと一撃で、決着がつく。
「政宗殿!」
「真田幸村!・・・あと一撃だぁ! これがlast shotだ! 覚悟はいいか!?」
「この命に代えても討ち取ってみせましょうぞ!!」
政宗は、その尖った爪を。
幸村は、その熱い槍を。
二つの力は光となって、天を駆け巡るように昇っていく。
紅と蒼。
二つの光は絡まりあい、膨張していく。
その力は、膨らんで、膨らんで、膨らんで。
──魔王のもとへ落ちていく。
「「はぁああ────────────っ!!!!!」」