第4章 恋の残り香
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「元親ぁ!! 私は城へ行く!! 行かせてくれ!!」
私はいてもたってもいられなかった。
政宗殿が首を絞められているのがここからでも見えるのだ。
もうだめだ。
ここで黙って見ていることなどできない。
「お前さんが行ったところでどうにかなるもんじゃねぇさ! ・・・こうなったら俺が乗り込んで・・・」
「待て元親! そうだ、これを貸せ!」
すぐ側に取り付けられた富嶽の大筒。
私はそれに目をつけた。
ここから魔王に砲弾を放てばっ・・・!!
「ま、待ちな紫乃! それで魔王を狙う気ならやめときな! もしあの味方の兄さんに当たったら・・・」
「元親、火を着けてここを引けば弾が出るのだな?」
「聞け!」
「・・・できぬのだ。何もせず、守られているだけなど。ここで二人の力になれずに失うのなら、私は死んでも死にきれぬ」
「だ、だからって言ってもなぁ、この重い弾があの城の頂上に届くかどうかっ・・・」
「届くさ」
私の想いは、きっと届く。
「私が打つのだ。届かぬはずがなかろう」
大砲に、火を着けた。
狙いを魔王に定めて。
「お、おい紫乃っ!」
「いけぇ────!!!」
いけ。
私の全てをかけて。
この想い、飛んでいけ。