第4章 恋の残り香
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二対一の接近戦か続く城の天守。
足下の瓦は走り回るたびに崩れていく。
「チッ・・・!」
魔王は斬りかかる二人を簡単に蹴散らしていく。
政宗と幸村は果敢に挑むも、刀一振りの風圧で飛ばされてしまった。
「手応えのない奴らよぉ・・・! 死に急ぎこの第六天魔王の城に登ったことを悔いるが良いわ・・・!」
織田信長は唸るようにそう言うと、吹き飛んだ政宗の首を片手で締め上げた。
そのまま持ち上げられ政宗は苦しそうに顔を歪める。
「政宗殿!」
「来るでなぁいぃ!」
幸村が政宗を助けようと近づくと、魔王はさらに彼の首をかき切る勢いで力を込めた。
「この残された眼・・・己の力を見誤る曇った節穴など、無くとも同じ・・! 今ここで潰してくれるわぁ・・・!」
「チッ・・・!やってみやがれっ・・・!」
魔王は尖った鎧の指先を、政宗の左目を潰さんと近づけていく。
じわじわと彼の目の先までにじり寄る鋭利な刺。
「政宗殿ぉ!!」
打つ手はなし。
───そのはずだった。