第4章 恋の残り香
「あ────! ダメダメダメ────!!」
ドンガラガッシャーン、と、笑えるほど激しい音とともに、私の体は見事要塞へと着地した。
囲いの一部をバキバキに壊してしまったが仕方ない。
いやぁ、それにしても、また思ったより、痛くない。
あの高さから、動く要塞へと飛び込んでいったのだから、死んだっておかしくはないはずなんだけれど・・・。
「・・・あれ?」
あったかくて、ゴツゴツしてて、動いてて・・・
「・・・テメェ・・・」
・・・前にも、こんなことあったような・・・。
ぱちりと目を開けると、私の体の下には、大男が下敷きになっていた。
「す、す、す、すまないっ!」
急いでそこから退いたが、私はその大男の風貌に思わず息を飲んだ。
風に揺れる白銀の髪に、野性的な眼光。
海の男を思わせる体つきは、触れた感触が手に残るほどに逞しい。
この男・・・。
「・・・長曾我部・・・元親・・・?」
「・・・空から降ってきた嬢ちゃん、お前さん俺を知ってるのか?」