• テキストサイズ

【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第4章 恋の残り香




ついに海の上空へ到達した。

しかし止まらない。

先の見えない海の上をただ進んでいくだけで、そのうち凧が力尽きて落ちるのを待つしかないのだろうか。

ああ、今度は地面に激突するのではなく、海に飲み込まれることになろうとは。


───そんなことを考えていたときだった。


海上に、何か見えてきた。

鬼の鳴き声のような轟きがそこから聴こえてくる。


「なんだ・・・あれ・・・?」


見えてきたのは、とてつもない大きさの海の要塞。

動く城とでもいうのだろうか、その姿は今まで見たこともない、強さとおぞましさ、そして晴々しさを感じる大要塞だった。

男たちの騒ぐ声も聴こえてくる。


「まさか・・・」


西海の鬼の棲み家。

まさかあれが、そうだというのだろうか。

・・・だとしたら、噂に違わぬ圧倒的な迫力だ。

あんなものを目の前にして、魔王とてまともにやりあう気など失せてしまうはずだ。


「富嶽・・・!」


いちかばちか、私は賭けてみることにした。

政宗殿で一度経験しているから、要領は得ている。

あの要塞めがけて落ちていけばいい、そうだ簡単だろう?


全身の力を、凧の右側へとかけて、その方向を変えた。


「わっ、ちょ、ちょ、・・・・ぎゃぁ─────!!!!」


そして落ちていくのだった。


大要塞・『富嶽』へ。



/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp