第3章 二人の主君
恥ずかしくて政宗殿の背に収まるように隠れるが、片倉殿はまじまじと私を見てくる。
彼の主君の手を煩わせたことを怒っているのだろうか。
「政宗様。先程、本能寺から離れんとする明智光秀を捕らえ、討ち果たしました。織田信長は安土山にいるとの情報が入りましたゆえ、こうしてお伝えに」
「なんだよ結局小十郎が全部何とかしちまったのか。・・・まあいい、それじゃあ安土山に最後のpartyをふっかけに行くか」
馬を走らせる準備をしていると、そこへ佐助様もやってきた。
「右目の旦那! 本能寺の方角から煙が上がってたから、ちょっと様子見に寄ってみたんだけど・・・あらら、紫乃大丈夫?」
「佐助様! 大丈夫です。少し毒が残っていて・・・」
背負われている私と背負っている政宗殿を交互に見たあと、佐助様は少しニヤニヤとした顔つきになった。
・・・バレているのだろうか、私の気持ち。
すると政宗殿は私を再び体の前へと持ってきて抱え直すと、この体をそのまま佐助様の方へ差し出した。
「丁度よかったぜ。おい忍、コイツはここで渡していく。・・・俺は魔王を倒しに行くんでな」
物のように佐助様に受け渡されたことが少し不服だが、佐助様は私の怪我を労るように支えてくれた。
・・・いつも装束のせいで分からなかったけれど、佐助様も力が強く、私を軽々と持ち上げている。