第3章 二人の主君

───その瞬間私はおそらく、考えることをやめねばならないと思ったのだ。

今、政宗殿に伝えたい言葉などない。

用意していなかった。


彼のことは、主君として尊敬している。

それ以上に自分が彼をどう思っているかなど、深く考えてはならない。

答えを出してはならない。


・・・なぜか、直感的に、そう思った。

だから答えを見つける前に、なかったことにしたかったのだ。


「・・・そ、そんな話はいいっ！ 私は何も考えたことなどない！
・・・お前の馬の傷は癒えたようだぞ。立ち上がっている。ほら、もう行くぞ」


何の考えがあって私に心の内を告げたのか。

私の反応を見て楽しんでいるのか？

・・・いや、そんな顔じゃなかった。

それでは本当に？

本当に政宗殿は、私を・・・？


「・・・顔を沸騰させながら拒否されてもな。cuteなだけだぜ」

「・・・っ・・・寝言は寝ているときに言え！」