第9章 ニンギョ×ノ×オモイ
現状は善か悪か。
求めるモノは幸か不幸か。
この先に待つのは生か死か。
アタシは貴方達に何が返せるだろう?未熟な心はそれさえも分からないまま。
※※※
飛行船を乗り継いで五日のアーカラ諸島。実際は強奪した飛行船で直行なので一日早い四日で現地に到着する。
常夏の雰囲気を出すこの地域は見渡す限りのリゾート地。ビーチビーチビーチ…そしてヌーディストビーチ。
『どうして皆、水着着てないの?』
「見なくていいから!」
と視界を覆うとそのまま小脇に抱えてショッピングモールに向かうは女子三名。
「浮き足立ってる男共は無視よ。分かった?」
『………?うん』
素直にベンチに座ると渡されたオレンジジュースを啜る。
『パクもマチもシズクも遊ばないの?』
「私達は貴女の厄祓いに来てるの。遊んでる暇なんて無いのよ」
『………』
「大丈夫だよチェリーさん。私達はやりたくてやってるんだもん」
その言葉に困った様に微笑むと長い睫毛を伏せる。
※※※
眩しい日差し。ジリジリと焦がす様な暑さ。海に囲まれた南国ながらの湿った空気。ベタつく肌は不快感を与える。
「暑いなー流石南国」
「不快よ…何故あんなに騒げるか」
「南国と言えばビーチの水着美女だからねぇ」
男としては騒ぎたくなるよ、と砂浜で美女をナンパする連中をパラソルの影で涼みながら言う。
「予定より早く着いたんだし一日くらい遊んでもいんじゃない?フェイタンも遊んでくれば?」
「興味無いね」
「チェリー一筋かな?」
「…ガキも興味無いよ」
大袈裟に溜息を吐くとくるりと踵を返す。
「だってあのフェイタンがチェリーにはすっごく甘いんだよ?それに子供になる前の素顔、見た事あるんでしょ?フィンクスが凄く別嬪だって言ってた」
「借りあるだけ。所詮はガキよ」
そう言ってこの場から姿を消す。そんなフェイタンを見て楽しそうに一笑み浮かべるシャルナークは再び炎天下の中、書類を捲る。
「さーてと…どういった作戦にするかなぁ」
「お待たせシャルナーク。この島一帯の地図は入手したわ」
「早いねパクノダ」
肩を竦めながら少し困った様に微笑むと数枚の地図をシャルナークに手渡す。