第8章 ニンギョ×ト×ジョテイ
そう言えば…とフィンクスがボヤく。
「そこにいる記憶を無くした子供はたった一人最高位の地位を持つ女帝…人魚達を統べるトップであり最強の海の戦士」
「なるほど♤通りで強い訳だ」
うんうん、と楽しそうに頷くヒソカにマチが肘鉄をお見舞する。
「僕はそんな君が欲しい」
一同「駄目(だよ♤/よ/だな/ね)」
『!みんな…』
チェリーを庇うように皆が画面の前に立ち塞がる。
「やれやれ…貴様等盗賊に許可は求めてないんだが…まぁいいよ、僕の敵ではない」
「あ"?」
「何だって?」
「コイツ今すぐ殺るよ」
「言ってくれるねぇ…♤」
「南国にあるアーカラ諸島。僕はそこに居る…待ってるよチェリー」
『!』
歪んだ微笑みは背筋に嫌な汗を流す。
「これ以上…大切なモノを失いたく無いだろう?」
映像はそこでブツッと音を立てて強制的に消える。
※※※
「アーカラ諸島か…飛行船乗り継いで五日だね」
「勿論全員で潰しに行くんだろ?」
「あぁ」
『………あの…』
何か言いたそうに皆を見上げるチェリーの頭を全員が一人ずつ頭を撫で回す。
「じゃあ、ちゃっちゃと飛行船の強奪に行きますか」
「よっしゃ暴れるぜ!」
「おいおい、飛行船の強奪くらいはスマートにやれよ」
次々にアジトにしている廃ホテルを出て行く皆の背中を見送るチェリーの脚はまだ動かない。
「何してるね、ささと行くよ」
『!』
「しゃーねぇなァ!今日は俺が肩車してやるよ」
ひょい、と抱え上げると肩に乗せる。
「あ、おい丁髷掴むなよ。持ち手じゃねぇんだぞ」
「いい持ち手じゃない?」
「なんだとぉ!?」
賑やかに笑う皆を見てチェリーは困った様に笑う。
『みんな』
一同「!」
『だいすきっ!』
その言葉に応える様に全員が不敵な笑みを浮かべる。
だけどその先に待ち受けるのは悲しい別れだと…まだ皆は知らない。
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