第7章 ニンギョ×ト×トウゾク
身動きの取れなくなったチェリーはドシャッと音を立てて地面に落ち、そのまま鎖で縛られたまま持ち上げられる。
「こんな餓鬼が人魚とか本当か?脚だってちゃんとあるぜ?」
『ヤだ!やめてよえっち!』
「あーでもそうだな…この深紅の瞳とかは人間離れしてるよなー」
『………!』
ぬっ、と目の前に迫る手に目を見開いた瞬間。
-さくっ-
「…?」
その男の心臓には刃が突き立てられており、チェリーを吊るす鎖を持つ手から力が抜けで地面にお尻から落ちる。その刃を伝う鮮血が一滴、チェリーの頬に垂れた。
「汚い手で触る…赦さないね」
一同「!?」
音も気配も無く現れた黒装束の人物に全員が距離を取る。刺した刃を引き抜くとドサリと音を立てて男は倒れる。
『………ふぇーたん!』
※※※
「ったく…フェイはいつもチェリーの事になると突っ込むよなぁ」
とボヤキながらチェリーに巻き付いた鎖を外すと、わしゃわしゃとぶっきらぼうに頭を撫で回す。
『ふぃんくしゅ痛い…』
「んなツれねー事言うなよ、褒めてんだ」
『?』
「一人で戦うなんてすげーじゃねぇか」
『!』
-ぎゅーっ-
俯いたままフィンクスの脚に抱き着くと離れようとしない。
「………」
「妬くなよフェイ」
「ハ?殺されたいか?」
「冗談だ冗談。一人くらい生かしとけよ、情報持ってるかも知れねぇし」
「拷問しながら殺る、問題無いよ」
そんな様子のフェイタンに"こりゃ駄目だ"と肩を竦めるフィンクスだった。
※※※
「お、戻ったか。どうだった?」
「つまらないね。何も持て無かたよ」
「ちゃんと聞い………てるな、ありゃ」
遠目に見えるグチャグチャになった死体を見て、その強面を引き攣らせる。
「そちは?」
「まぁこんな状態だ」
ベンチの上に膝を抱えながら蹲るチェリー。此方に向かう途中に合流したパクノダとコルトピはアジトに帰してシャルナークと共に情報収集に時間を割いてるであろうが、まだ連絡は来ない。
「チェリー」
『!』
名前を呼ぶフェイタンの声に反応を見せたチェリーは顔を上げる。その顔は今にも泣きそうな不安に押し潰されてるような顔。