第6章 ニンギョ×ノ×キキ
「マーミィ姉って…確か彫刻の時も…」
彫刻の宝石が砕けた時に本物の眼球が出てきた時の動揺をパクノダとシャルナークとフェイタンは思い出す。
『…彫刻?』
「あ、そっか…その記憶も無いんだ…」
「そのマーミィって人は…チェリーのお姉さん?」
『ううん、人魚さん』
一同「!?」
平然と言ってのけるチェリーにウヴォーギンはビールのジョッキグラスを握力で割ってしまい、ノブナガは盛大に吹き出す。シャルナークは珈琲を自分の膝にかけてパクノダはミルクを入れる手が傾いたままで溢れ出す。そしてフェイタンは椅子から少しズレる。
「ま…まぁそうだよね!?彫刻の宝石だって本物の人魚の眼って言われてたし本当に眼球出てきたし…」
おしぼりで膝に零した珈琲を拭きながら平静を保つ。
『人魚狩り』
一同「!」
近年、活発になってきている人魚狩り。かと言ってもそう簡単に人魚が姿を現す訳でもないし捕まえるのなんて珍獣捕獲ランクで例えるとSSSランクと言われてる程難易度が高い。でも捕獲に成功してる人は居るのは居るみたいで人魚の一部が高値で売られてるのも事実。
『いつからかマーミィ姉と会えなくなって…でもあの人からマーミィ姉の匂いがした。ううん、マーミィ姉だけじゃない………何て説明したら良いか分かんないけど…人魚さんの気配が絡み付いてるって言うか…』
「気配?」
『うーんとね………うーん………』
「実際に見て会って喋った事のある人にしか分からない事何じゃないかな?」
『多分皆も人魚さんに会えば分かる…と思う』
ずこーっとりんごジュースを啜る表情は眉を下げつつ眉間に皺を寄せて難しい顔をする。
『それに…』
一同「それに?」
『マーミィ姉に会えば本当に戻れると思うの!』
一同「!」
『人魚の鱗、万能薬』
「そんな噂、あたね」
『だからあの人、見つけなきゃ』
ぎゅっ、とグラスを持つ手に力を込める。
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