《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第6章 温泉旅館でときめいて
《ゆめside》
「っ……」
息を切らしながら、霊幻さんはティッシュの箱を引き寄せた。数枚取り、私の口に当てる。
「出せよ。遠慮はすんな。まずいだろ?」
「…………」
まずいだなんて……。
首を横に振り、私はゴクンと音を立てて飲み込んだ。
「っ!? お、おいっ! なんで飲むんだよ? 大丈夫か!?」
「うっ……」
口の中に広がる独特の香り。ぬるぬるしていて喉に残る。何より舌が痺れるくらいに苦くて私は思わず顔をしかめた。
「な、なんだよ、その顔は! だから言っただろ! 俺はちゃんと止めたからな!?」
霊幻さんが心配そうに私の口を拭う。
「ふふっ、霊幻さん、そんなに焦らなくても」
オロオロしている霊幻さんがなんだか可愛い。
「そりゃ俺が女だったら、こんなもん飲みたくねぇからな」
リアルに想像したのか気持ち悪そうに口を歪める霊幻さん。
「あの……私は別に飲みたくなかったわけじゃないですよ?」
「は?」
たしかにおいしくはないけど、イヤではなかった。むしろ嬉しい。だって、霊幻さんは気持ちよかったから出したんだし。
「私は……霊幻さんのものなら飲んであげたいって思ったから……」
「なっ……!?」
霊幻さんは口をあんぐりと開けた。みるみる頬が赤くなる。
「でも霊幻さんがイヤだったならすみません」
「べ……別にイヤってわけじゃねぇよ! どっちかというと、よかったから……また機会があったらやってくれ……」
恥ずかしそうに目を伏せる霊幻さん。耳まで赤いところを見ると、本音で言ってくれているみたいだ。
そっか。霊幻さんも喜んでくれたんだ……。
安堵と一緒に嬉しい気持ちがこみ上げてきた。目頭が熱くなる。目の前の霊幻さんがたまらなく愛おしくて胸が詰まった。
「霊幻さん!」
私は霊幻さんに抱きついた。
大好き、霊幻さん。霊幻さんと一緒に過ごせる全部がもう幸せ。
そのまま体重をかけて布団に押し倒す。
「っ!? おいっ!? ゆめ! なんのつもりだ!?」
私は霊幻さんに覆いかぶさり、ぎゅうっと抱きしめた。