《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第6章 温泉旅館でときめいて
《霊幻side》
危なかったぜ……。
見上げてくるゆめが可愛すぎて、つい我を忘れてキスしそうになっちまった。
だいたい風呂上がりの浴衣とか反則だろ。目のやり場に困っちまう。おまけに手を離したら泣きそうな顔するんだもんな。
ったく……。
それにしても、あの仲居、明らかに気づいていたよな。声をかけてきたのは『廊下でイチャつくな』という牽制だろうな。ゆめにはその意図は伝わっていないようだが。
部屋に着くと、ゆめが鍵を出した。
「ちょっと待ってくださいね! 今開けますから!」
「おう、頼む。ふぁ〜あ、風呂に入ったら眠くなってきたな……」
「そうですね。今日はたくさん歩きましたしね。霊幻さん、開いたのでどうぞ」
「ん」
あくびをしながら部屋に入り、電気をつける。
パッと明るくなった瞬間、部屋の真ん中に二つ並んだ布団が目に入った。
「っ!?」
布団は隙間なくぴったりとくっつけられている。
眠気なんて一瞬でぶっ飛んだ。唾を飲み込み、隣のゆめをちらりと見る。
「っ……」
ゆめも驚いたように目を見開いて布団を凝視している。
い、いや……待て……別にそんなつもりじゃねぇぞ。今日はお互い疲れているし、なにせ俺は余裕のある大人だからな? せっかくの旅行に来てまでサカっているとゆめに勘違いされたら心外だ。
大体、こんなにくっつけて布団を敷くなんておかしいだろ。あの仲居、俺が夜を期待しているようにでも見えたのか? 冗談じゃない。純粋に温泉を楽しみに来ただけだ。まさか浴衣のゆめと部屋でくんずほぐれつ絡み合ってあんなコトやこんなコトをしようなんてこれっぽちも――。
想像したら下半身が熱くなってきた。
くそっ……なんだよ……勃ってきたじゃねぇか。
そりゃ俺も男だからな。期待していなかったというのはたしかに言いすぎた。多少は考えていたさ。いや、多少というか……実はかなり考えていたかもしれない。
だって可愛い彼女と旅館で一泊なんて我慢するほうが無理だろ。とはいえ、ここに来てまでガツガツしているとゆめに思われたくないしな……。