• テキストサイズ

《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)

第6章 温泉旅館でときめいて


「何見てんだよ」

「え……えっと……」

そんな顔されたら、私まで恥ずかしくてたまらなくなっちゃうよ。

「…………」

霊幻さんは黙って私の肩をそっと引き寄せた。

え!? 

「あ、あのっ!? 霊幻さんっ――」

霊幻さんの顔がぐっと目の前に近づく。

キスされる……!?

思わず目を瞑った瞬間、

「霊幻様!」

突然どこからか声をかけられた。

「っ!?」
弾かれたように離れる私たち。

廊下の向こうから見覚えのある仲居さんが微笑みながら歩いてきた。

「お帰りなさいませ。今、お部屋に布団をご用意させていただきましたので」

「ああっ、あ、は、はいっ! そりゃどうも」
霊幻さんが汗をかきながらヘラヘラと笑う。 

「お風呂はいかがでした?」

「と……とてもよかったですよ! な? ゆめ?」

突然話を振られ、私は飛び上がった。

「へ!? あ……はい! 気持ちよかったです!」

「そうですか。朝もやっておりますのでぜひご利用くださいね」

「は……はい! ありがとうございます」

それではお休みなさいませ、と礼をして仲居さんはにこやかに去っていく。

「「…………」」

私たちは緊張したまま見送った。

よかった……。霊幻さんとキスしそうになったのは見られていなかったみたい。

仲居さんの姿が完全に見えなくなると、霊幻さんは大きく息を吐いた。私もつられて肩の力を抜く。

「さてと、部屋に戻るか。行くぞ、ゆめ」

「はい……」

さっきの続きは? なんて言える雰囲気でもない。霊幻さんも少し気まずそうだ。なんとなくギクシャクしながら、私たちは再び歩き出した。

「なぁ、ゆめ……」

「は、はい?」

ドキッとして霊幻さんを見上げる。

「……モブへの土産は買ったか?」

「あ! ま、まだです!」

「明日忘れず買わないとな〜。あいつ、なんだったら喜ぶんだ? やっぱり中学生には菓子か?」

「そ、そうですね! 食べ物が無難かもしれませんね」

さっきはあんなに赤くなっていたのに、霊幻さんはいつもの無表情に戻っている。何を考えているのかわからない。

やっぱりもうその気がなくなっちゃったのかな?  







/ 100ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp