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《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)

第6章 温泉旅館でときめいて


霊幻さん、ごめんね。手が冷たいのは私が待たせちゃったせいだよね。

これで少しでも温かくなるといいんだけど。

もう一度握り直すと、

「ったく……」
霊幻さんが小さく呟いた。

顔を上げると、耳まで真っ赤に染まった霊幻さんの横顔。なぜかキッと前を睨んだまま歩いている。

「霊幻さん……?」

「なんだよ」
私を見ずにぶっきらぼうに返事する霊幻さん。

「顔が真っ赤ですけど」

「…………」 

「もしかして照れ――」

「うるせぇっ!」

やっぱりこっちを向かない。

え、もしかして本当に照れてるんじゃないの!?

私は霊幻さんの顔を下から覗き込んだ。

「ねぇ、霊幻さん! 大丈夫ですか? 本当に真っ赤っ赤ですよ!?」

「…………」
霊幻さんがプイと顔を反らす。どうしても目を合わせたくないみたいだ。

うわ〜! これ、絶対に恥ずかしがってる! こんな顔が見られるのは貴重かも! 嬉しい!

「ねぇ、霊幻さんってば〜!」

「…………」

「なんで急に照れてるんですか? あ、もしかして恋人繋ぎにしたから――」

「だから、うるさいっての!」

霊幻さんが突然ゴツンと勢いよくおでこをぶつけてきた。

「痛っ!! も〜! 何するんですか〜!」

びっくりしておでこを両手で押さえる。手も離れてしまった。

「しつこく覗き込んでくるからだ。ったく、近すぎるんだよ」
霊幻さんはさっさと歩いていく。

「だってなかなか見られないから……」

ああ、余計なこと言わなきゃよかった。部屋まで手を繋いで仲良く帰りたかったのに。

仕方なくのろのろとついていくと、霊幻さんが突然足を止めた。

くるりと振り向き、こっちに大股で戻ってくる。

「ゆめ」

「は、はい? どうしたんですか?」

霊幻さんは私の手を掴んだ。

「繋ぎたいんだろ? さ、行くぞ」

「え……!」

強引に歩き出し、今度は躊躇なく指を絡めてくる。

霊幻さん……。

見上げると、目が合った。相変わらず顔が赤い。霊幻さんは少し決まりが悪そうに唇を歪めた。


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