《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第6章 温泉旅館でときめいて
《ゆめside》
夕食を食べ終わり、私たちはすぐに浴場に向かった。混浴ではないから入るのは別々だ。
「ふぅ……」
露天風呂に浸かりながら天を仰ぐと、空には星が光っている。暗闇の中で立ち昇る湯気。身体は熱いくらいだけど、頬は外気でひんやりと冷やされて気持ちがいい。
今ごろ霊幻さんもほっこりと浸かっているに違いない。
私はすぐうしろの岩にもたれた。
「もう一年かぁ……」
両手でお湯をすくいながら、ぼんやりと思い返す。
帰り道で思い切って告白したあのとき。緊張で手も足も震えて、本当にドキドキしたな……。
霊幻さんとは年も近くないし、正直相手にしてもらえないと思っていた。告白だって本当はするつもりじゃなかった。
でもあの瞬間、なぜか『今なら言えるかも』と突き動かされるように想いを伝えちゃったんだよね。
結果、今こうして霊幻さんとお付き合いできている。奇跡だ。
いつまでも永遠に……なんていうのは夢物語だってわかっている。喧嘩せずに、心変わりもすれ違いもせずに、自分とは違う人間と仲良く付き合い続けていくのは大変だ。
それでも霊幻さんといると、やっぱり永遠もあるんじゃないかなと思えてしまう。もしかしたら、本当にずっと一緒にいられるんじゃないかなって。
この幸せを大切にしたい。壊したくない。何があっても霊幻さんとなら乗り越えられる気がする……。
「ううっ……だめだ……なんか熱くて頭がぼうっとしてきた……」
いろいろ考えていたら、つい長く浸かりすぎてしまった。少しのぼせたのかも。
私はフラフラと出て脱衣場に入った。
「早く部屋に帰ろうっと……」
浴衣に着替え、ドライヤーで半乾き程度に髪を乾かす。荷物をまとめ、女湯ののれんをくぐると、霊幻さんが壁にもたれて立っていた。
「わっ! びっくりした! 待っててくれたんですか!?」
浴衣姿の霊幻さん。な、なんかセクシーじゃない? 179cmの長身によく似合っている。