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《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)

第6章 温泉旅館でときめいて


「でも、そのわりには顔色よくないし、目の下にクマができているような……? 霊幻さん、本当にちゃんと寝ました?」

「ば、ばっかおまえ! 何言ってんだ! 寝たよ! すっげぇ寝たよ! 寝すぎで逆に疲れるぐらい寝たからな!?」

動揺したかのように車が突然大きく右に蛇行する。

「きゃっ!」

足元のボストンバッグが倒れて、私は慌てて座席の下を覗き込んだ。

「あ〜悪い、ゆめ。ちょっとよそ見した」

何事もなかったかのようにまた車線に戻る車。

も〜、霊幻さんってば怖すぎる。他の車が周りにいなかったからよかったけど……。

「あの……霊幻さん、運転されるのは久しぶりなんですよね? この車もレンタカーですし……」

霊幻さんは気まずそうに苦笑いした。

「普段は電車かタクシーで移動してるからな」

「大丈夫ですか? 私、まだ死にたくないんですけど……」

霊幻さんはフフンと鼻を鳴らす。
「ばーか。安心しろ。前の仕事は営業だったんだぞ? この霊幻新隆様にかかれば、運転なんてチョチョイのチョイだ。多少のブランクはあるけどな」

本当かな……? あまり余裕があるようには見えないけど……。

「でも霊幻さん、昨日は寝てないんですよね? ずっと運転は辛くないですか?」

「大丈夫だ。寝不足には慣れてるから……って、いやいやいや! ちょっと待て! 俺はぐっすり寝たってさっき言っただろ!? 何、どさくさに紛れてカマかけてきてんだ!」

「かま……????」

「まさかの無自覚!? おまえなぁ……」

霊幻さんが呆れたように息を吐く。

会話に夢中になっていたら、あっという間に高速の入り口に来ていた。

「霊幻さん、ここから高速に乗るんですよね?」

たしか温泉までは三時間くらいかかるはずだ。今日は平日だし、渋滞も心配なさそう。

しかし、霊幻さんはなぜか急に深刻な顔つきになった。

「ああ……いよいよだ。いいか、ゆめ。気を抜くなよ。常に不測の事態に備えておくように」

「ふ、不測の事態!? そんなに危険なんですか!?」

どういうこと!? ただ高速を走るだけでしょ!? もしかして、心霊トンネルや悪霊による事故多発スポットがあるの!?

それはちょっと怖いかも……。

緊張でごくんと唾を飲み込む。


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