《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第6章 温泉旅館でときめいて
あの霊幻さんが仕事より私を優先してくれるなんて……。
嬉しさと同時に誇らしさも込み上げる。
調味市のみなさーん! そして、霊のみなさーん! 聞いて聞いて! 霊幻さんにわざわざお休み取ってもらっちゃったーーーー!
しかも遠出だよ!? 一泊二日だよ!? 二人きりで温泉! 今までは仕事帰りに食事やお泊りするだけだったのに、今日は朝から夜までずっと霊幻さんと一緒! さらに次の日も一緒! これってすごくない!?
幸せを噛み締めながら、ちらりと隣を盗み見る。
霊幻さんはしっかりとハンドルを握って、前を見つめていた。
真剣な横顔。二人きりの車内。
あーーーー! 霊幻さんって、本当に大人でカッコよすぎ! もう大好き!
それに……今回はただの旅行じゃない。
今日10月10日は霊幻さんの誕生日。そして、付き合ってちょうど一年の記念日でもある。
本人は忘れているのかもしれないけど、ちゃんとお祝いしてあげたい――
「おい、ゆめ。夕べはちゃんと寝れたか?」
「は、はいっ!?」
私は我に返った。
霊幻さんがちらりと心配そうにこちらを見る。
「なんだよ、ボーッとして。さては眠いんだろ? どうせおまえのことだから、興奮してまともに寝れなかったんじゃねぇのか?」
う……。
ボーッとしていたのは違う理由だけど、昨夜寝れなかったのは図星だ。だって、あまりにも今日の旅行が楽しみすぎて……。
「そ、そういう霊幻さんはどうなんですか? ちゃんと寝れました?」
「お〜、そりゃぐっすりよ。遠足の前日の小学生じゃねぇんだから、旅行ぐらいで睡眠に影響が出るわけないだろ。大人をなめんなよ?」
本当に……?
私はジッと霊幻さんの顔を見つめた。