《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
「おまえ、ゆめの体を乗っ取っていたのか!?」
「ああ、ちょっと体を貸してもらった。こいつ、授業中にウトウトしていたから侵入しやすくてな」
「なんだと!?」
エクボのやつ、ゆめに取り憑いていたのか。道理で様子がおかしいと思った。
エクボは楽しそうに笑う。
「おまえらがあまりにもどかしいから、ちょいとゆめの恋路の手助けをしてやろうと思ったのによ。まさかすでに大人の関係とはなぁ。これでハッキリしたぜ」
くそっ、めんどくさいやつにゆめとの関係がバレてしまったな。
「エクボ……。おまえ、まさかモブを利用するネタに使うつもりじゃないだろうな? こんなもん何の脅しにもならねぇぞ?」
エクボは呆れた顔でハイハイと手を振る。
「わかってるよ。シゲオにゃ関係ねぇ。で、ゆめとはいつからだ? バレンタインの日は七回もヤっただと? 霊幻、おまえ、見かけによらず――」
「うるせえ! 人の性事情に首突っ込むな! 今、聞いたことは忘れろ!」
「いや、俺様もおまえなんかのセックスに興味ねぇよ。気持ち悪い。ただやけに自信たっぷりなのが腹立つな。ゆめをつついてみたら、どうなるか興味が湧いてきたぜ。おもしろそうだ」
「っ!?」
ゆめをつつく? 何を企んでいる?
エクボが宙をくるりと回った。
「なんだよ、霊幻。顔色が変わったな。心配か? 安心しろよ。俺様はゆめの味方だ。あいつの恋を応援したいと心から思ってるんだぜ?」
「っ……」
「まあ、もしゆめの気持ちが離れたら、それはおまえさんの努力不足ってこったな。そんときゃ諦めろよ。じゃあな」
「っ!? おいっ! ちょっと待て! エクボ!! 何するつもりだ!?」
エクボはするりと窓から外へ出ていった。
「ったく……エクボのやつ……」
俺はゆめをソファに寝かせると、すぐ横にあった椅子にどかっと腰を下ろした。
「厄介なことにならなければいいが……」
ネクタイを緩めると、ゆめの寝顔を見つめる。何も知らずにスヤスヤと眠る彼女。細く柔らかい髪を撫でると、俺は深いため息をついた。